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偶像少女【アイドルマスター】 vol.14


 雑居ビルの一室へと招きいれられる。中は普通の事務所と言った趣で、意外とまともだった。
 少なくともここで変なビデオを撮られるようなことはなさそうだ。
 いや待てよ。オフィス系ならありだな。
 事務の人を後ろから抑えつけ無理やり……そう、ちょうど目の前にいる眼鏡を掛けて気の強そうな女性を屈服させるような――
 とちょっとここには載せられそうにもない妄想が脳裏を駆け巡る。
「なんですか?」
「なな、なんでもありませんっ」
 ギロッと言う効果音が聞こえそうなほど鋭い視線に、既に俺の心が屈服していた。

「で、春香。この人たちは?」
「やだなぁ。律子さんがスカウトして来いって言ったんじゃないですか」
 あははと笑う女の子に、律子と呼ばれていた眼鏡の子が更に目つきを鋭くする。
 だが、女の子は全く意に介さないどころか、手柄を褒めてほしい子犬のように頭を差し出す。
 その頭を、眼鏡の子は思い切りグーでどついた。地味に痛そうだ。
 殴られた女の子は涙目になりながらも瞳に疑問符を浮かべる。
「春香ねえ。あんた仮にもアイドルなんだから、そのアイドルがスカウトしに行ってどうするのよ!」
 あ、この子アイドルだったんだ。
 言われて納得する。確かにそこらのアイドルよりも全然整った顔をしているし。
 それに見ているだけでこちらも釣られてしまう笑顔は、とても魅力的だった。
「とりあえず拾った場所に戻してきなさいっ」
 俺たちのこと犬猫と間違えてるんじゃなかろうか。いや、わかってて言ってるんだろうな。
「でもでもせっかく来てもらったんですし、面接くらいしてあげても」
 女の子が必死にフォローをしてくれる。
 けど俺たちもアイドルになりたくて売り込みに来たわけでもない。
 えっちなビデオに出演するわけではないが、これ以上ここにいてもややこしいことになるだけだ。

 ここは大人しく帰ろうと美希のほうを見る。
 ……すでにもらったおにぎりをもきゅっていた。
「もきゅもきゅ。なの?」
 こいつ……状況を把握する気もねぇ!

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偶像少女【アイドルマスター】 vol.13


 ゆっくり話をするために場所を変えると言われ、ついていくこと10分。
 すぐ着きますから! という言葉からすると正直微妙な時間だった。
 居酒屋が1Fにある雑居ビルに女の子が意気揚々とあがっていく。
「遠慮しないでこっちあがってきてくださいー」
 女の子が階段の踊り場からこちらに声を掛ける。
「遠慮というか……なぁ?」
「なの」
 俺は女の子に案内されたビルを一歩引いて眺める。

 何というか、ほどほどにボロく、少なくともアイドルになるための事務所が入っているようには見えない。
 むしろえっちなビデオを撮影するための事務所と言われても、驚きはしないだろう。
 俺はみないが。

 美希も俺と同じ気持ちのようで、怪訝な表情を隠そうともしていない。
 さすがにえっちなビデオとかはないだろうが、怪しげな宗教的なものはありそうだ。
 俺たちは互いに頷き合い、元来た道へと踵を返す。
「ちょ、なんで帰るんですか!?」
 追いかけてくる女の子を尻目に、美希と腕を組んで歩きだす。
「そろそろ映画の時間だなー。急がないと遅れちゃうぞっ」
「なのー。急がないと次のけいおんの上映に間に合わないのー」
「さすがにそのチョイスはどうなんだろう……」
 白々しい会話を続けながら歩きだすが、その腕をガシッと掴まれてしまう。
「お願いしますーっ! 話だけでもーっ!! おにぎり出しますからっ」
 なんでおにぎり!? そこは普通にお茶出せよ!
 っていうかおにぎりとか出されたら……
「行くの」
 絶対こうなるんだから。俺はため息をついて諦め、雑居ビルへと向かうのだった。

偶像少女【アイドルマスター】 vol.12



「えっと、今暇ですか?」
「す、すいません。俺待ち合わせなんで」
 地面を見つめ、ぼそぼそとなんとか返す。
 いや、だってこんな可愛い子に声掛けられたら直視できないって!
 彼氏いない歴=年齢な俺にはちょっと難易度高い。
「? そ、そうですか……」
 女の子がこちらを一瞥した様子を見せ、そのあと悲しそうな声色で呟く。
 なんだか罪悪感がひしひしと胸に積もってくる。
 正直美希とのデートの約束がなければ即座についていってるところだ。
「うう……でもこのまま成果なしで帰ったら、律子さんに何されるか……ひぃっ! 春香、頑張れ!」
 ぶつぶつと何か呟きながらよしっとガッツポーズを取っている。
 ちょっと天然入ってるのだろうか。
 それにしても、これだけ待って美希が来ないってことはもしかしたら、兄とのデートが面倒臭くなって家で寝転がっているのかもしれない。
 いや、その可能性大だ。
 ならこの子の話を少し聞くくらい問題ないってなもんだろう。
 よし。この子がもう一度話しかけてきたら返事をしよう。
 そう意気込んでも、自分からは声を掛けられないチキンである。

「あの――アイドルに、なりませんかっ!!」
「わへ?」
 わかりました。と答えようと口を開けた状態のまま、俺は固まっていた。
 アイドル? 歌って踊る? フリフリの服を着て? いや、今は男のアイドルもいるか。
 どちらにしろ俺がそんなのになれるわけがない。
 きっとこれは勘違いだ!
 ぶんぶんと首を振って意識を保とうとすると、俺のすぐ隣に見慣れた金髪がって――

「だから、無理だって言ってるの」
「やっぱり美希だったー!!」
 そうですよね! 俺なわけないですよね!
 思ったよりもショックを受けている自分にショックを受ける。
「て言うか、美希お前いつからそこにいやがった!!」
 突然俺が大声を上げたことに女の子が驚いているが、当の美希は何興奮してるの? と言わんばかりだ。
 まぁ気付かなかった俺も俺だが。
「お兄ちゃんが浮気しないかどうか見張ってたの」
「いや、浮気も何もまず付き合ってないからな、俺たち」
「音楽性の違い……なの」
「それも違う!!」
「あ、あのー」
「つーか、こんな無駄な時間過ごしてるくらいならさっさと出かけたほうが良いだろ!」
「待ち合わせの時間もデートの一部、なの!」
「すいませーん」
「デートっていうなら一緒にいたほうが楽しいに決まってんだろっ」
「あふぅ。お兄ちゃんが他のカップル見て憂鬱そうにしてる表情……とっても楽しかったの」
「ドSすぎ!?」
「私の話も聞いてくださいっ」
 女の子が俺と美希の間に身体を投げ入れてくる。
 そういえばすっかり忘れていた。普通に家の中にいる気分だった。
「ううっ……アイドル。アイドルにぃぃ。律子さんがぁぁぁっ」
 俺と美希の服を掴み、涙ながらに訴えかけてくる女の子の必死さに、俺と美希は話だけでも聞いてあげることにしたのだった。
 女の子の最後のほうの言葉はよくわからなかったが――

偶像少女【アイドルマスター】 vol.11


「ごめーん、待ったぁ」
「いや、今来たところだから」
 そんな定番なやりとり、本当にあるのか。と思いながら隣で待ち合わせていたカップルを見送る。
 普段ならばリア充爆発しろ! と言いたいところだが、今日の俺は違う。
 何せ俺もデートなんだからな! 妹とだけど。
「……」
 やっぱりリア充爆発しろ、と言ったほうがいいのかもしれない。
 そんなことを考えながら、リア充御用達である犬の銅像が建っている駅前広場で美希を待っていた。
 俺と同じく待ち合わせをしている人たちが、まるでババ抜きをしているかのようにペアを作っては消えていく。
 1ペア、2ペア……そして気が付いたらトランプが全部なくなってしまうほど時間が経っていた。
 いや、確かにここならそれくらいあっという間かもしれない。
 それでも想像以上に遅い。
 俺は家を出るときのことを思い出していた。


「んじゃデートとやらに行きますか」
「なの」
 俺も美希もTシャツにジーパンと言う普段着のまま、揃って玄関へ向かう。
 正直デートと言うより兄妹で出かけるだけなので、着飾る必要もない。
 と思っていたが、なんだか逆にペアルックみたいになっていた。
『さすがにこれは微妙だろ』
『え? 美希別にこのままで良いの』
『いやいやいや。今日びペアルックて。あり得ないだろ』
『んー。じゃあお兄ちゃんが着替えて来ればいいの』
『俺? 俺もう靴履いちゃったし』
『意味分かんないの!?』
『うむ。仕方ない。互いに譲る気がないのならば、ここは古来より伝わる武術で勝負を決めるとしよう』
『わかったの。異論はないの』
『じゃーんけーん――』
『ぽんっ』

 というわけで、美希が再び着替えるのを待たずに先に出た俺が、こうして待ちぼうけしているのだった。
 着替えるのを待っていようかとも思ったのだが、美希に「ついでだし待ち合わせにするの!」と言われ、ほいほい乗ってしまった俺も俺である。
 だって、待った? 今着たとこ。ってやってみたかったし。
 ……ええ、ええ。そうですよ、彼女なんていたことありませんよ!
「あのー、すいませんっ」
 一人で勝手にいじけていると、不意に声をかけられた。
「?」
 声のしたほうを見てみると、身長160cmくらいだろうか。髪の両サイドにリボンをつけ、お人形のようにかわいらしい女の子が立っていた。
「?」
 なんだろうか。キャッチとか街頭アンケートだろうか。
 だとしてもこんなに可愛い子に声を掛けられたら、男ならついていってしまっても仕方ないだろう。
 そう思わせるほどの魅力が彼女にはあった。

偶像少女【アイドルマスター】 vol.10



「お兄ちゃんも鍵しめるべきだなって思うの」
「はい。はい。本当すいません」
 昨日と同じ様な状況で、逆の展開となっていた。黄緑的な意味合いで。
 って、いつも通りの展開も良いのだが、今日は美希に言わなければならないことがある。
「あ、そういえば俺、社員の話なくなったわ。てへ」
 とりあえずできるだけ軽いノリで言ってみた。
「あふ、またなの?」
 悲しいことにこれもいつも通りの展開だった!

「んー。それじゃあ明日デートするの!」
 俺に気を使ったのか、美希がそんなことを言ってくる。
 明日はちょうど休みなので、新しい仕事を探しにでも行こうかと思っていたところだ。
 でも確かに息抜きというか、気分転換は必要だろう。
 美希とデートと言うのは心惹かれるが、妹とデートと言うのも何というか、あれだよな。
「というか、妹としかデートしたことない俺って」
「あふぅ。美希もお兄ちゃんとしかデートしたことないの」
「それは当然ですっ!!」
 美希が!! 知らない男と!! デート!!
 そりゃあいつかはするのだろうけど、そんな美希とまだ見ぬ彼氏を想像するだけで……
「お兄ちゃん、泣いてるの?」
「寝とられとか意味分かんないっ」
 俺の想像では、彼氏に美希を寝とられたことになっていた。
「悔しいっ、けど感じちゃう!!」
 そんなわけで、明日は美希とデートすることになったのだった――

「お兄ちゃん、ちょっとキモいの」
 美希が心変わりしなければ、だけど。

偶像少女【アイドルマスター】 vol.9


 ――なんて都合の良い展開、俺の福音にはあり得ないのだった。
「本当悪いことをした」
 目の前の男がちょっとだけ薄くなった頭頂部を惜しげもなく俺に見せつけている。
「いや、あの、ほら、しょうがないですから。頭をハゲ……上げてください」
 俺は俺で動揺していたのか、危うくNGワードを発動してしまうところだ。
「君のことはもうほとんど決まっていたんだがね……会社自体がね」
 一言で言うと、会社の経営がやばくなったので新しく人を雇っている余裕がなくなった、と。
 そういうことらしい。マジか。

 仕事が終わり、社員の人の第一声が「すまん。社員の話、なしになった」だった。
 結構期待していただけにショックを受けつつ、頭の片隅ではやっぱりなと思ってるのも事実だった。
 また福音、か。本当、こんなもの呪い以外の何物でもない。

 それ以降も謝ってくる社員の人に、気にしないでくださいと言って帰路につく。
 話を聞いていると、社員の人も厳しそうな話だった。
 それでも俺のことを気にしてくれたのは、紹介した罪悪感もあるのだろうが、良い人なのだと思う。

 てくてくと歩きながら、今後のことを考える。
 今の職場は社員になるのを前提としているところだったので、それが断たれた今、このまま続けるのもさすがにニート街道まっしぐらすぎる。
 やはりここは今の仕事を続けながら、早急に新しいところを探すのが現実的な路線だろう。
 方針が決まったところで気分も切り替え、家路へと急ぐ。
 こんな福音を持っているせいで、そういうところだけは得意になってしまっていた。


「ただいま、と」
 結局そこまで遅くならず、いつも通りの時間に帰宅。
 美希は先に寝ているのだろう。部屋の中は真っ暗だった。
 荷物を美希が起きない程度に乱暴に投げ捨て、ユニットバスへと向かう。
「……よし」
 一応電気が点いていないことを確認。
 まあ、さすがに美希も二日連続ではしないだろう。
 安心した俺は、着ていた服を脱いでは脱衣カゴへと放り込んでいく。
 ガチャ。
「あふー。おしっこおしっこ、なの」
「って、今度は逆ー!!」
 不意打ち気味に扉を開けられ、美希が買ってくれた黄緑色のパンツを惜しげもなく晒してしまう。
 とりあえず手でパンツを隠そうとしてみたりするが、男がシナを作ったところでキモいだけだ。
 美希はそんな俺の一人芝居に見向きもせず――

「あふぅ~~」
 ちょろちょろちょろちょろ……
「って、続行すんのかよ!!」

偶像少女【アイドルマスター】 vol.8


 ――ぶっちゃけ美希は可愛い。
 お人形と間違われるような容姿、モデル顔負けのスタイル、そして天然故の小悪魔的性格。
 それに福音がある。芸能界というところに入るのも夢ではないだろう。
 いや、むしろそのための福音なのかもしれない。
 少なくとも、うだつのあがらない兄と一緒にぐだぐだとやっているべきではない。
 街中で何回もスカウトに遭っていると言うくらいなのだが、本人は興味がないの一点張り。

 本当にもったいない。
 例えばだが、さっき美希が言っていた如月と、美希が一緒に歌ってるのを聴いてみたいくらいだ。
 きっと良いハーモニーを奏でるだろう。

「あふぅー、ごちそうさまなの」
『次のニュースです。現在巷で評判になっている聖歌星唱(サードスター)の三人が、携帯電話で通話しながら運転していた警察官を現行犯逮』
 プツッ。
 ――ちょっと気になった。
「お兄ちゃん、そろそろ準備しないといけない時間なの」
 美希に言われて携帯の時計を見る。
「お、そうだな」
 確かにそろそろ準備しないと間に合わないかもな。
 おにぎりの残りをお茶と一緒に流し込み、急いで使った食器を洗う。
 水を流しっぱなしのまま、スポンジにたっぷりと洗剤をかけては食器を磨く。
 水道代が気にはなるが、こうしないと汚れが落ちた気がしないのだから仕方ない。
「そうだ。今日社員の人と話して遅くなるかもしれないから、先に寝てていいぞ」
 はーいという返事を聞きながら、きゅっきゅと指先でお皿の汚れを確かめる。
 うん。ピカピカだ。今日も良いことありそうだ――

偶像少女【アイドルマスター】 vol.7



 ここで少し福音(スコア)について説明したいと思う。
 福音(スコア)が発見されてから早20年。
 徐々に、確実に増え、今では全世界の人口のおよそ1割程度にまで達しているという。

 誰が言い出したかは定かではないが、それは神が人に与えた奇蹟であり、祝福であり、福音である――と。
 与えられる福音はそれこそ千差万別。百人居れば百通りの、千人居れば千通りの福音がある。
 これもまた、人が望むべき福音はそれぞれ異なるものである、と言われたためである。

 その能力とは、時に風を操ったり、何もないところに火を点けたり、傷を一瞬で治したり――
 今までの人類では現実的に不可能なことを可能にする。それはまさに奇蹟と呼ばれるものだった。

 けれど、その実態は福音という名前とは裏腹に――呪いのようなものだ。
 俺のような福音の場合は特に。
『起承転欠【バッドエンド】』
 それが俺の福音の名前だ。
 読んで……というか、見て字の如く、最後が欠けている。
 要するに、良いところで絶対に失敗してしまうのは、俺のせいでも、運のせいなんかでもなく、ただ福音のせいなのだ。
 そりゃあ福音の一つや二つ、呪いたくなるってもんだろう。


「美希も気をつけろよ。お前の力、身を守るのとかに向いてないんだから」
「あふぅ。お兄ちゃんは美希のこと大好きすぎなの。美希、大丈夫だよ」
「べべ別に好きとかそんな話してへんわ!」
 図星をさされたわけでもないのに、なぜか動揺して関西弁になっていた。

 美希の福音――『妃美聘音【トップアイドル】』。
 美希の歌を聴いたものは、美希に好意を抱いてしまう、というものなのだが……
 美希はいわゆる一般人なので、他人が美希の歌を聴く機会などカラオケくらいしかない。
 宝の持ち腐れにもほどがある。

 テレビのニュースがひと段落し、間にCMを挟む。
「あ、この歌美希知ってるの」
 美希がCMで流れている歌に興味を示すなんて珍しい。
「これ、誰が歌ってるんだ?」
「えっと、確か如月千早って人なんだけど、すっごく歌がうまくて凄いの! それに、同じ学校らしいし」
 語彙の少なさにちょっと頭が痛くなるが、言いたいことは伝わるので良いとしよう。
 ついでに如月千早という名前をインプットしておく。
 兄として妹の趣味は把握しておく必要があるのだ。

偶像少女【アイドルマスター】 vol.6


 翌日、目を覚ました時には、美希はすでに普段着に着替えていた。
 うん。ちっとも寂しくなんてない。あるわけがない。
「お兄ちゃん、ご飯できてるのー」
 申し訳程度のキッチンから、今日の朝食登板である美希が声を掛けてくる。
 ちなみに、うちのご飯は一日交替で行っている。もちろん美希も例外ではない。
 というか、二人きりなので例外とか作る余裕がないだけなのだが。
 両親はというと、別に死別しているなんてことはなく、主人公にありがちな海外赴任というやつだ。
 俺にはよくわからないが、両親は知る人ぞ知るという音楽家らしい。
 まぁ当然のように普通の人は知らないので、収入なんてものはたかが知れている。
 そんなわけで、俺は美希と二人、質素な生活を余儀なくされているのだ。

 そんな誰に向かって説明しているのかわからないことを考えながら、着替えを終える。
 美希が遅い、とぼやいているのを聞き流しながらダイニング兼リビングに入る。
 うん。予想通りテーブルに並べられているのはおにぎりです。隔日必ずおにぎりです。

 向かい合わせで座り、食前の祈り……はしないけど、一緒に手を合わせる。
 テレビを見ながらおにぎりをほうばる。今日は高菜か。
 おにぎりの三角と黄緑色の具材。ほほう、昨日のパンツとおにぎりをかけてるのか。
 って、んなわけねー!
 ビシッと、妄想逞しい自分の脳に一人ツッコミを入れつつ、もう一口。
「どうどう、美味しい? 昨日のパンツの色とお揃いにしてみたの!」
「そんなわけあったー!!」
 微妙に食べ辛くなったおにぎりを更に一口。ふむ、これが美希のパンツの味、か。
 普通に美味しいのがちょっと困る。

『――今夜から明日にかけて、雨が降る予想です』
「もきゅもきゅ……あふう、やっぱりおにぎりは最高なの」
 頬をリスのようにした美希の顔を見ていると、こちらも自然と笑みの形を取ってしまう。
 べ、別にパンツのことを思い出してるわけじゃないんだからね!
 無意味にツンデレ風味にしてみても、変態に変わりはないな。

『次のニュースです。本日未明、20歳前後とみられる男性二人組が、福音(スコア)を使って銀行を襲い、現場から逃走致しました。現在も犯人は逃走を続けており、警察も行方を探しています』

「もっきゅもっきゅ。んー、最近物騒なの」
「だなー。それにしても福音(スコア)の犯罪増えてるよな」
「なのなの」

偶像少女【アイドルマスター】 vol.5


 シャワーでさっぱりとし、明日へのやる気を貰った俺は気分よく部屋へと入る。
 そこにはすでに先に寝ている美希の布団が、規則的に上下に揺れていた。
「すー……、すーっ……」
 美希のあどけない寝顔を見ているだけで、心に温かいものが浮かんでくる。
「おにぃ……」
 ああ! 夢の中でまで兄のことを想ってくれるなんて、なんて良い妹なのだろう!
 感動のあまり、目頭まで温かいもので滲んでくる。
「……ぎり」
 デスヨネー!
 さっきとは打って変わって一気に温度が下がったもので前が見えない!

 好物のおにぎりを食べている夢でも見ているのだろう。
 幸せそうな顔を浮かべながら眠る美希。
 この笑顔を守るためならば、俺はきっと何でもできる。そう思えるほどに。

 美希を起こしてしまわないよう、並べられた布団の自分のスペースに静かに近づく。
「あふぅ……ん」
 寝がえりをよって美希が掛けていた布団がめくれ、パジャマ姿が露わになる。
「ぶふっ!!」
 よりによって、美希のパジャマは薄い黄緑で透けっ透けのレースのネグリジェだった。
「見てない、俺は何も見ていない……」
 そう言えば、今朝美希が新しいパジャマが届くとか言っていた気がする。
「覚悟するの! とか言ってたのはこれのことだったのか」
 寝るためだけのパジャマに何を覚悟するのかと思っていたが、こういう意味だったとは。
 と言うか、さっき会ったときは普通のパジャマだったし。
 わざわざ着替えたのか。芸が細かすぎる。
 ということは、さっきのトイレも確信犯だったのかもしれない。
 いやむしろ、今も起きてタヌキ寝入りをしているんじゃ……タイミング良すぎるし。

 俺は真偽を確かめるため、寝ている美希の身体に手を伸ばす。
 って、これじゃあ変態じゃないか!
「見ない。俺は何も見ないっ」
 、掛け布団をかけ直そうと目を瞑ったまま手を伸ばす。
「は、はぁ……はぁ……」
 なんだか余計に変態度が増している気がする。
 呼吸か! この呼吸がなんかいけないんだな!
 美希は本当に眠っているようだし、こんなことで起こしても可哀想なので、真面目にやることにする。
 もちろんなるべく見ないようにしてだが。

 まずは布団を掛けて……って、布団どこへやった。
 きょろきょろと探したいが、いかんせん目の前で寝転がっている美希はパジャマを着ているとはいえ、視覚的には裸みたいなものだ。
 仕方なく手さぐりで美希の掛け布団を探す。
 指先に布団っぽいものを感じ、掴んで引き寄せようとする。
 ぷにむにょん。
「あふ、んんっ――」
「??」
 ぐにぐに。
「ん、んん、あふぅっ」
 俺が鷲掴みにしたその物体は、どんな煎餅布団より柔らかく、極上の羽毛布団よりふかふかで、無上の羊毛布団より遥かに弾力性に富んでいた。

 ――つまり、まぁ、おっぱいだったわけで。
「~~っ!」
 あまりの気持ちよさに危うく大きな声を出してしまいそうになるのを、必死で堪える。
 ついでにもう一度その感触を求めようとする手も、必死で堪える。

 結局邪念に支配される前に布団をかけ直すのを諦め、俺は自分の布団にもぐりこんだ。
 もしかしたら風邪をひいてしまうかもしれないが、その時は自業自得だ。
 諦めて俺に看病されてもらおう。

 布団の中に入るとすぐにまどろんでくる。
 お風呂で疲れはとれたはずなのに、なぜかまた疲れているせいか。
 指先の感触を忘れないうちに夢へと持ち込むため、眠ることにする。
 ……寝れるわけがなかった。

 やっぱりなるべく早く引っ越しをしよう。
 そしてお風呂とトイレだけでなく、寝室も別にする!
 俺は固くそう指先に誓いつつ、おっぱいの夢に堕ちるのだった――

偶像少女【アイドルマスター】 vol.4


「正直悪かった」
 とりあえず用を足した美希が出てくるのを待ち、素直に頭を下げる。
 美希の顔を見てしまうといろいろと思い出してしまうから、頭は下げたままで話を続ける。
 いくら妹とは言え、美希にだってプライバシーはある。
 そう、黄緑色の下着を穿いていようともプライバシーはあるのだ。
 いや違う。そうじゃない。そうじゃないだろ俺。
 膝に申し訳程度に掛けられていたパンツの色は、この際関係ない。
 ここでの問題は、一瞬しか見ていなかったはずの美希のトイレ姿をはっきりと思い出すことができてしまうことなのだ。
 もしかして俺は映像記憶能力を持っていたのか!?
 って、それも違う!
 ぶんぶんと首を振って、記憶から黄緑を追い出そうとする。

「どうしたの?」
「あ、ああいや、なんでもない」
 美希の声でなんとか我に返った俺はようやく本題へと戻る。
「美希もトイレに入ってるならちゃんと鍵くらい閉めてくれよ」
「あふ? 眠くてつい忘れちゃったの……あふ~」
 見てしまった方はかなり動揺しているのに、見られた当の本人は恥ずかしさなんてなんのその。
 そんなことよりも眠気が勝っているようだ
「つい忘れちゃったって、それでいいのか」
「だって減るものじゃないし、別にお兄ちゃんになら見られたって良いって美希思うな」
「いやだめだろ」
 さすがに俺にトイレを覗きたいなんて趣味はない、と思う。
 思うのだが、先ほどの自分の動揺を思い返すとなぜか言い切ることが難しい。
「もー、お兄ちゃんは気にしすぎなの! 兄妹なんだかららっきーすけべくらい当たり前なの!」
「ら、らっきーすけべ!?」
「あふ……それじゃ美希はもう寝るの」
「え、あ、う、うん」
 それで話は終わり、とばかりにマイペースな美希が一つしかない寝室に戻っていく。
 って、立場が逆な気がするのはどうしてだろう。
 お兄ちゃんは美希の将来が心配です。

 美希が寝室へと行ったので、今度こそと安心してシャワーを浴びに風呂へと向かう。
 もう黄緑はいないからな。いやいやいやいや。それはもういいっちゅーねん!

「お兄ちゃん」
 シャワールーム兼トイレへの扉に手をかけたとき、美希が寝室からひょっこりと顔を出す。
「血の繋がった美希はいない、なの!」
「ええい、良いから寝ろ!」
「あは、おやすみなさいなのー」

 美希が部屋に戻ったのを確認し、一つ息をつく。
 もうすっかり眠気は覚めていたが、一連のやり取りを思い返すと疲れもどこかへ吹っ飛んでいた。
 冒頭から色々と言ってはいたが、結局のところ妹がいるから頑張れるし、これからも頑張るのだろう。
 その程度には兄としての甲斐性はあるつもりだ。

 ボディブラシで身体をゴシゴシと洗う。
 この皮膚ごとごりごりとそぎ落としてしまうかのような感覚が痛気持ちいい。
 汚れと一緒に疲労などもキレイに落としてくれているような感覚になる。
 肌を傷めるとかしったことか。自分がよければそれでいいのだ。
 それに引き換え、美希は牛乳でできた石鹸で身体を洗っている。
 牛乳もちょくちょく飲んでいるので、いつか牛になってしまうかもしれない。
 すでに一部分は牛のように立派に成長しているが。
「このくらいか?」
 ボディーソープの泡を手に取り、胸へくっつけてみる。
 すげえ! 自分のつま先が見えねえ!!

偶像少女【アイドルマスター】 vol.3
 第0章 『アイドル』の作り方


「ただいま、と」
 職場を出る前にやらかした片づけをし、いつもと変わらない時間に家に着く。
 真っ暗な部屋の電気を点けることもせずに部屋の中へと入る。

 古びたアパートの一室には申し訳程度のリビングに部屋が一つだけ。
 もちろんお風呂とトイレは一緒になっている。ついてるだけ僥倖だとも言えるのだが。

「さすがにいつまでもこんなところに住むのも、な」
 別段俺自身今の家に困っているわけではないが、もう少しで念願の正社員になれるのだ。
 そうすればもう少しはまともな家に引っ越すのも良いだろう。
 断固としてお風呂とトイレは別であるべきなのだ。絶対に。
 だが今はユニットバスしかない。
 ないのであればこれ以上ないものねだりをしても、時間の無駄と切り替える。
 とにかく今は仕事に疲れたこの身体を、シャワーでさっぱりと洗い流す必要がある。
 明日も朝早くからアルバイトの予定が入っているのだ。

 すでに眠気が襲う目を擦りながら、ユニットバスへと向かう。
「あれ、俺電気点けっぱなしだったか」
 急に射す光に、一瞬視界を奪われながらも頭を捻る。
 朝家を出るギリギリまでトイレに籠ってたので、もしかしたら消し忘れていたのかも。
 って、そんなことはわざわざ言わなくても良いよな。
 なんてことを、誰にでもなく呟きながら扉を開く。
「――っ」
 目に差す光に思わず瞼が落ちる。
 薄めになりつつ少しずつ光に慣れるのを待つ。
「……って」
 徐々に光に慣れていき、視界が拓けていく。と同時に瞼を閉じる。明転、そして暗転。

「ち、ちょっとおおおおおっ!!」
「あふぅ、お兄ちゃんお帰りなさいなの」
「みみみみみみみきっ、お、お前何やってんの!」
「何って……おしっこなの?」
「おしっこかー。しーしーなら仕方な……って、いやいやいやいや何普通に答えてんの!?」
 我に返った俺はついでに目も開いてしまい、慌てて後ろを向く。
 え、いや、なんで美希が!? もう寝てたんじゃないのか!?
 こんな時間まで起きてることなんてほとんどないのに!
 と言うか何で気付かない俺! 扉の隙間からでも光が漏れてただろうに!
 それにしてもパジャマで肝心なところが見えなかったのはなんだ! わざとか!
 べべ別に見たいなんて思っちゃいないが、見れないとなるとそこはかとなく悔しい気持ちが――

「あふぅ~~」
 ちょろちょろちょろちょろ……
「って、続行すんのかよ!!」
 星井美希、14歳。俺の妹である。せっかくの初登場は――トイレ、だった。


偶像少女【アイドルマスター】 vol.2


 幕間劇 10


「ぐっ……ん、ううっ」
「涼さん!」
 攻撃をなんとか避けながら、触手のようなものに掴まっている涼へと声をかける。
「んっ……ふぁっ! んんっ……うあっ――」
 責められているはずなのに、なぜか涼は恍惚とした表情をしている。
 まぁ、うれしそうではあるが、ピンチなのには変わりない。
「今助けますからっ!」
「愛ちゃん、危ない…」

 涼の元へと駆けつけようとした愛に絵理が声をかける。
「わわわっ!?」
 どこからか現れた男の攻撃を身を捩ってなんとか避ける。
 そのままバックステップで相手との距離をとり、なんとか体勢を整える。
 絵理さんが声をかけてくれなかったらまったく気付かなかった……
「絵理さんありがとっ!!」
 視線は男から外さぬまま、感謝の意を伝える。
 その絵理は一人で三人の男を相手にしていた――


「ふっ……」
 目の前の男がけん制気味に突き出してきた拳に合わせ、大きく一歩前へと踏み出る。
 そのまま相手の腕をとり、合気の要領で男を叩きつける。
 そして掴んだ腕を思い切り捻りあげた!
「ぐああっ!!」
 ボギンッと鈍い感触を感じながら、すぐさま前方へと転がる。
 ……一人。

 直前まで絵理がいた場所を丸太のような足が通過する。
 当たったら華奢な絵理の身体では耐えられないだろう。
 しかし、それもまともに当たったら、の話。

 転がった先で待つのは蹴りを放った男は別のもう一人の男――
 待ってましたと言わんばかりにこちらも蹴りを放ってくる。
 だが転がった回転のまま蹴りに来る足へとかかと落としの要領で男の膝へこちらのかかとを打ち下ろす!

 骨が砕ける音が脳髄まで響き、男が昏倒する。
 ……2人。

 絵理の動きを見て警戒を強めた男が、懐からナイフを取り出して絵理へと向かってくる。
「はぁ……」
 あっという間に間を詰めてくる男を冷めた眼で見やる。

 武器を持ってしまうということは、選択肢を狭めてしまうということ。
 特にその武器の扱いに特化していなければ、むしろ選択肢を決めてしまうようなものだ。

 右手に握られたナイフの動きに注視し、ナイフが突き出されたその瞬間、相手の右側。
 ナイフを持っている腕の外側へと身体を滑らせる。

 男はすぐさまこちらへナイフを動かすが、それが間違い――
 絵理はしゃがんでナイフをやりすごし、その袖を掴むと……一気に、振り下ろす!

 ただそれだけの動きで、絵理よりも二回り大きい男は簡単に地面へと叩きつけられた。
「3人……」
 とりあえず周囲にいた男たちを倒し一息つく。
 そのときちょうど、愛の方も男を倒したところだった――


「うわっ! っとと、きゃっ」
「ちっ。うろちょろするんじゃねぇ!!」
 男が連続で繰り出す攻撃をなんとかギリギリのところで避け続ける。
 明らかに自分よりも体格が大きく、強そうな相手の攻撃をまぐれでも避けることが出来ている……
 それは日々の厳しいダンスレッスンによる運動神経の賜物だった。

「さっさとやられて楽になっちまえよ! あそこでアホ見てえな顔して喘いでる男だか女だかわかんねぇ奴みたいに今なら最っ高に気持ちよくなれるぜ!?」
「っ!」
 こちらを委縮させるためのた安い挑発であることはすぐにわかった。
 そんなことわかってはいるが、聞き逃すことなど出来ない――
 結果、その挑発は成功していると言えるし、ある意味で失敗しているともいえる。
 だって、友達をバカにされてまで大人しくしているなんてわたしじゃないっ!!
 涼さんははれっきとした男の娘なんだから――

「っ!!」
 相手の攻撃をなんとかギリギリで回り込みながら避ける。
「こ、のぉっ!!」
 そして避けた回転をそのまま遠心力へと変え、相手の足目がけて思いっきり足を振りぬく!
 いきなり反撃したわたしの攻撃に、びっくりした男はそのまま攻撃を受ける。
 致命傷と言うにはほど遠いが、目の前の男の体勢が崩れ、一瞬重心が下がる。
 わたしは手を休めることなく、流れるように下を向いた男の顎へと掌底を叩きこむ。
「ぐっ……っ!!」
 男はたまらず数歩後退する。
 すぐに男はそれが失策だったことに気づくけど、遅い!
 たった数歩。けどその数歩があれば福音(スコア)を発動するのには十分すぎるっ!!
「痛いですけど我慢してください!!」
 両手を前に出し、相手の男へと意識を集中する。
 発動の為に必要なものはただ一つ。歌名(タイトル)。
 ただそれだけで、福音は発動する――
「『四肢損々【ブレイカー】』!!」


偶像少女【アイドルマスター】 vol.1
 偶像少女【アイドルマスター】


 ■プロローグ


 終わり良ければ全て良し――それは結果が伴ってはじめて価値のある言葉になる。
 結果が全て。頑張れば結果なんてものは後から付いてくる。とも言う。
 けど、どれだけ頑張っても結果がついてこなかったら?
 それって頑張る意味があるんだろうか。

 誰しもそんなことを一度は考えたことがあるだろう。
 もちろん俺もある。いや、むしろしょっちゅうそんなことを考えている。

 だがそんなものはきっといつか成功するときのための布石だと思えば良い。
 そうすれば例え失敗したとしても高いモチベーションを保てる。
 失敗しかない人生などあり得ない。
 雨が必ず止むように、失敗と言う名の母からは、必ず成功と言う名の子供が生まれるのだ。


「とは言っても……はぁ、やっぱりきついよなー」
 手に持っていたゴミ袋を、どさっと重量感のある音を響かせながら所定の場所へと置く。
 きついというのはゴミ出しのことなんかじゃない。ゴミ出しもきついが。
 せっかく職場の上の人に正社員へと誘われたんだ。これくらいで根をあげるわけにはいかない。

 もちろんきついのは結果が出ないことだ。
 さっき語ったようになんとかポジティブに考えようとするが……きついものはきつい。
 普通の人なら多少失敗が続いたとしても、それでも稀には成功する。
 定期的に良いことがあるはずなのだ。だから人は頑張れる。

 それが――俺にはない。まったくと言っていいほどない。
 そりゃあちょっとしたことならうまくいったことはある。
 だけどそれを物事の最初から最後までうまく行った、ということが一度もない。
 はっきり言って、よく今までグレないで生きてきたな、と自分でも感心するくらいだ。


 俺は要領が悪いわけでも、頭が弱いわけでも、人に恵まれないわけでも、ない。
 むしろ、他の人よりも優れてるとさえ思う。
 成績は学年で一桁の順位から落ちたことはないし、友達だってたくさんいるし、運動もできる。
 それでもダメ――それはなぜ?

 例えばそれは、小学校の学芸会で自分の出番を忘れられてしまい、そのまま劇を壊してしまったり。
 例えばそれは、中学の体育祭でリレーのアンカーだったのに、直前の競技で足を挫いてしまったり。
 例えばそれは、高校の修学旅行で最終日に熱を出して、一人部屋で寝込んでいたり。
 例えばそれは、大学受験当日に受験票の入ったカバンを盗まれ、テストが受けられなかったり。


 つまり何が言いたいのかと言うと……
 俺は最後の最後で『絶対』に失敗をするってことだ。


「よし、これで全部終わりだな、っとと!」
 どんがらがっしゃーん!!

 ――こんな風に、な。
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