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偶像少女【アイドルマスター】 vol.15


 おにぎりを食べ終わるまではテコでも動きそうにもない美希を諦め、二人のほうへと向き直る。
 すると、こっちにまで矛先が向いてきた。
「あなたも! 春香が可愛いからって、ホイホイついてこないでください!」
「うぐ……」
 春香と呼ばれている女の子が可愛いと思っていたことは事実なので、口を噤んでしまう。
「それに、そんな気楽にアイドルになれるなんて思われてもこっちだって迷惑です! 妹とデートごっこだかなんだか知りませんが、続きをどうぞ!」
 なんだか連れてこられただけで散々な物言いだが、ここで言い返しても埒が明かない。
 そう思っていると、思わぬ方向から口が挟まれた。

「ごっこ遊びなんかじゃないの!」
 おにぎりを食べるのに夢中だったはずの美希が、ご飯粒を俺に飛ばしながら眼鏡の子に言い返す。
「さっきから聞いてるとお兄ちゃんのことシスコンとか甲斐性なしとか職なしとか、言いすぎなの!」
「何一つ言われてねーよ!!」
 絶対聞いてなかっただろ!
「それにアイドルくらい簡単になれるの」
 美希のその言葉に眼鏡の子の目が明らかに変わる。
「へぇ……それじゃあ今この場で歌ってみてくれる? それくらい簡単なのよね?」
「ふふん。吠え面かかせてやるの」
 そう言って美希がこちらをチラッと見て笑う。美希のやつ――福音を使う気だ!

「妃美聘音【トップアイドル】――」
 歌名を小さく呟き、美希の声が聴くもの全てを魅了する旋律を奏で始める――
「なに……これ」
「ほぁぁ! すっごく上手いですよ!」
 律子と春香が感嘆の息を漏らす。
 そんな二人も、それ以降声を出すことすら忘れ、どこか聞き覚えのある美希の歌に目と耳を奪われる。
 静寂の中、美希の歌声が部屋を音符で埋め尽くし、陳腐な言い方をすれば全てを美希の色に染めていく。
 それがとても心地よく感じる。
 この一瞬が永遠に続くかと思われたが、その時間は不意に破られる。

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